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2025年10月19日
【レポート】エリートレース
ハーフマラソンスタート時の天候は曇り、気温19.1℃、湿度59.8%。東京レガシーハーフマラソン2025は少し暑さを感じ、湿度も高い気象条件下での開催となりました。
エリート男子は、セレモン・バレガ(エチオピア)が1時間1分22秒で初優勝を飾りました。東京2020オリンピック10000mの金メダリストは「大変良いレースだった。沿道から多くの人が、私の名前を呼んで『頑張れ、頑張れ』と応援してくれました。ですから、優勝することができてとても嬉しく思います。」と喜びを語りました。リチャード・エティーリ(東京国際大)がトラックの最後の直線で猛追し、同タイムの1時間1分22秒で2位、ベナード・キメリ(富士通)が1時間1分34秒の3位に入りました。
スタートからゆっくりしたペースで進み、先頭集団は最初の5kmを14分52秒で通過しました。大きな集団を形成したまま、5km~10kmを14分24秒、10km~15kmを14分35秒で進み、ビクター・キプチルチル(ケニア)、エティーリが前にて揺さぶりますが、なかなかペースが上がりません。15km過ぎで先頭集団は8人となり、上り坂に入った19km付近で4人に絞られます。20km付近でバレガがスパート。集団から抜け出し、余裕を持った走りで国立競技場に入ったものの、トラックでエティーリが追い上げてきました。最後は接戦となり、バレガが辛くも逃げ切りました。
バレガは「アスリートであればオリンピックで優勝するのは大きなターゲット。東京という地名を聞くたび、そのことを思い出している。私は東京が大好きです。」と思い出の地で再びトップでフィニッシュし、充実感をにじませました。

日本勢のトップは、オリンピック2大会連続マラソン代表の大迫傑(LI―NING)が1時間1分45秒で6位に入りました。19km手前まで先頭集団に食らいつき、「気象条件や風もあったり、前半は抑えめでペースがちょうどよかった。」と序盤からリズムをつかみました。「そこまで調整しなかった割にはしっかり走れた。」と納得の表情でレースを振り返りました。吉居大和(トヨタ自動車)は18km付近で先頭集団から後れを取り、1時間2分26秒の9位でした。

エリート女子は、ハーフマラソン初挑戦のムワンギ・レベッカ(ケニア)が1時間8分46秒で制しました。かつて日本の実業団に所属し、「初めてのハーフマラソンを走ったけど、ロードから声をかけてくれ、ありがとうございます。」と日本語で感謝しました。ジャネット・ニーヴァ(パナソニック)が1時間9分9秒の2位、メスクレム・マモ(エチオピア)が1時間10分58秒の3位でした。
スタートからレベッカ、ニーヴァ、マモと3人で並走するように進んでいきます。最初の5kmを16分23秒で通過。10km付近からペースを上げていったレベッカが徐々に独走態勢に入ります。最後まで安定した走りで後続を寄せ付けず、笑顔でフィニッシュしました。「自分の中ではいいタイムで走ることができた。本当に嬉しかった。来年はもっといいタイムで走ることができる。」とさらなる成長を誓いました。

日本勢のトップは、川村楓(岩谷産業)が1時間11分42秒で4位。東京2020オリンピック5000m代表で本格的な復帰レースとなった萩谷楓(佐久市陸協)は1時間11分59秒で5位に入りました。

大嶋康弘レースディレクターは男子について「最後までエティーリ選手がバレガ選手を追いかけて、トラックに入ってからも見応えのあるレースだった。」と総括しました。一方で、厳しい気象条件で記録が上がらず、「大会としてペースメーカーの有無があるが、こういったコンディションの中ではしっかりレースをつくって、引っ張るペースメーカーを考えていかないといけない。」と今後について語りました。女子については「このコンディションの中では悪いとも言えない記録。よく頑張っていただいた。」と評価しました。