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2025年10月20日
【レポート】パラアスリートレース
パラアスリート(視覚障がいT11/T12クラス)の部は8時5分、天気は曇り、気温19.1度、湿度59.8%の条件のなか、エリートや一般のランナー1万5千人ともにスタートしました。
6人が出走した男子は招待選手の熊谷豊(三井ダイレクト損保)が昨年からの連覇を達成しました。前回、自ら樹立した男子T12の世界記録(1時間9分33秒)には惜しくも届かずでしたが、1時間10分54秒の好タイムでのフィニッシュでした。
2位に入ったのは大石航翼(日本ブラインドマラソン協会)で、自己新記録となる1時間14分22秒、3位は望月達哉(日本ブラインドマラソン協会)で、タイムは1時間22分00秒でした。
熊谷は今春、右ふくらはぎの肉離れで、約2カ月間、走れない時期があったそうですが、自己新を狙って果敢な走りを見せました。「自己新に届かず、悔しい部分はあるが、最後まで記録を狙ってがむしゃらに走れたので、結果には満足。少し暑かったが、肉離れの影響はほぼなかった。これからのマラソンシーズンに向け、調子を戻していきたい。」と、好感触を得た様子でした。
2位の大石は自己新を2分以上更新する快走。「去年と比べ、だいぶ力がついてきたと自信にはなった。でも、73分前後が目標だったので、悔しい気持ちのほうが今は強い。暑さもあったが、10㎞以降に脚に(疲れが)きてペースが落ちた。もっと距離を踏んで、後半までもつ足を作っていきたい。」とさらなる成長を誓いました。レース中は、「名前を呼んでくださる方も多く、すごく力になったし、一般ランナーの方も周りにたくさんいて、力も借りたりしながら、うまく走れた。」と感謝しました。
4選手が出場した女子は、前回2位の和木茉奈海(IMV)が1時間33分37秒で初優勝を果たしました。2位には西村千香(日本ブラインドマラソン協会)が1時間37分43秒で、3位には金野由美子(日本ブラインドマラソン協会)が1時間44分06秒でつづきました。
東京レガシーハーフマラソンでは、さまざまな障がいクラスのアスリートが参加しています。例えば、今大会には聴覚障がいT00クラス男子に青山拓朗(台東区陸協)が、同女子に安本真紀子(日本デフ陸上競技協会)が出場しました。ともに、今年11月に日本で初開催される東京2025デフリンピックのマラソンと10000m日本代表に決定しています。
車いすを除いたパラアスリートのなかではトップタイムとなる1時間8分10秒でフィニッシュした青山は、「(デフリンピックに向けた)強化練習の一環として、昨日は30kmレースに出て、今日はハーフを走った。今日のレースでは疲労はあったが、周囲に普段、一緒に練習しているランナーもいて、負けたくない思いで、いい形で走れた。」と振り返りました。
目前に迫る大舞台に向け、「ここまでケガもなく順調に練習できている。周囲からも応援され、プレッシャーはあるが、楽しんでレースができたらいいし、その結果、金メダルが獲れれば。ケガやインフルエンザにも気を付けたい。」と気持ちを高めていました。
また、知的障がいT20クラスの男子3名も出場し、1時間13分15秒でフィニッシュした中筋陸駆(和歌山走ろう会)をトップに、全員が完走しました。
東京マラソン財団レースディレクター室の鈴木は、「T11/T12クラス男子の熊谷選手は目標記録に少し届かずでしたが、練習はできているというので、次のレースに向けて頑張ってもらいたい。2位の大石選手は自己新の見事な走りでした。女子は和木選手が順当な走りで優勝。アクシデントがあったなかでも、しっかりとフィニッシュしてくださってよかった。この後またコンディションを整えて、ゆっくりと再スタートしていただけたら。」と、心を寄せました。
また、T00クラスの2選手については、「青山選手も安本選手も好走しました。今日のレースを弾みにしてデフリンピックでも頑張っていただきたい。」とエールを送りました。さらに、「今後も、各障がい競技団体と連携しながら、より多くのパラアスリートに挑戦いただけるよう、レース環境づくりにも努めていきたい。」と話しました。